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田中一村

 今日は田中一村(たなか いっそん)です。

どの画壇にも属さず、50代で奄美大島に渡り、亡くなるまで貧しい中、島の様子などを描いた日本画家です。

 10代の頃に初めてこの方の作品を見て、「日本画って、こんなに素晴らしいんだ」と思いました。デザイン性の美しさ、写実性、繊細な筆遣いなど、全てが綺麗でとても新鮮でした。奄美大島の南国の景色が題材なので、一風変わっていますが、大胆な構図に惹かれました。

 働いてはお金を貯め、絵に打ち込んでいたそうです。とても貧しく、家も傾いていて、本人もとても痩せています。そんな中から生み出された絵とは思えないほど、豊かで力強く、花開くような絵です。奄美大島の暑い空気を感じる様です。しっかりした写実性に繊細さと確かな腕を感じます。日本画にしては珍しい画題ですが、やはり日本画でしかあり得ない作品です。

 純粋にひたすら絵に打ち込まれた人生らしく、二足のわらじと良く言いますが、これぞまさしく、という気がします。好きなピカソの画集を見ている写真も残されていて、全然画風も違うのに、優れた物は影響するのだなあ、と面白く感心しました。

 日本画のあっさりと見える繊細な美しさがとても好きで、見ていると癒やされたり、心が洗われたりします。10代の頃にこの方の作品に出会えて、本当に良かったと思います。

 

 さて、私の方は、猫の注文作成の切り絵が、予定では出来たのですが、出来上がって見ると、何か足りない気がし、新たに書き加えて作業を引き延ばして遣っています。明日にでもその下絵をお見せ出来るかと思います。綺麗な作品になれば良いが…を思ってやみません。ある程度出来るまで、これではおかしい、というのが分らないのですから困った物です。実力というのはどうやったらつくのでしょうか?

 キット分らないうちに、知らず知らずについているのだとは思いますが・・・。歯がゆいことです。